SLV、Solana v3 向け自動ビルドとリージョン最適化を実装。複雑なセルフビルド手順不要でグローバル更新を高速化
SLV、Solana v3 向け自動ビルドとリージョン最適化を実装。複雑なセルフビルド手順不要でグローバル更新を高速化

ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役CEO:川崎文武)と Validators DAO は、Solana バリデータおよび RPC 運用を自動化するオープンソースソフトウェア「SLV」の最新版 v0.9.700 を公開しました。
今回のアップデートでは、Solana v3 以降で必須となったセルフビルド環境の課題を解決し、バイナリビルドと配信を完全自動化。さらに Cloudflare R2 を活用したリージョン最適化配信により、世界中の運用者がこれまでよりも短時間で安全かつ効率的にアップデートを行えるようになりました。
Solana v3 時代の課題
Solana v3 から、公式ディストリビューションによる事前ビルドバイナリの提供が終了し、すべての運用者が Rust ソースからセルフビルドを行う必要が生じました。
これにより、Jito クライアントや Firedancer クライアントを構築する際には、多数の依存パッケージ管理やビルドレシピの整備が必要となり、運用コストとメンテナンス工数が大きく増加していました。
特に複数リージョンやマルチノードを運用するバリデータでは、同一バージョンのバイナリを統一的に管理することが難しく、環境間の差異が同期や安定性に影響を及ぼすことも課題となっていました。
また、同じビルドを各ノードで繰り返す時間的コストも大きく、ヒューマンエラーによる構成差異が発生しやすいという問題もありました。
SLV は、これらを解決するために一括更新機能を備えています。一度ビルドしたバイナリをすべてのノードに同時適用でき、複数リージョンを跨ぐ環境でも統一された状態で即座にアップデートが可能です。もちろん、リージョンやノード単位での選択的アップデートにも対応しており、柔軟かつ安全な運用管理を実現します。
SLV v0.9.700 の新機能

今回のアップデートでは、こうした課題を根本から解決する以下の新機能を実装しました。
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新コマンドの追加
slv v install:solanaおよびslv r install:solanaにより、Solana バイナリのビルド・取得・配信を完全自動化しました。 -
グローバル自動ビルド & 配信システム
SLV が Agave、Jito、Geyser Plugin のアップデートを自動検知し、グローバルクラウド経由でビルド・アップロード・配信します。
これにより、各バリデータは手動ビルドを行うことなく、常に最新の安定版環境を最短時間で導入できます。 -
Cloudflare R2 によるリージョン最適化配信
Cloudflare のグローバルエッジネットワークと R2 を組み合わせた配信により、アクセス元の地域に応じて最寄りのエッジから高速に提供されます。すでに主要地域では安定した高速アクセスを実現していますが、今後はアジアを含む各地域のドメイン展開とエッジ最適化を進め、より広範囲での低遅延配信を強化していきます。 -
ping ベースの最寄りミラー選択
SLV は各ミラーへの ping 測定を行い、最も近いミラーを自動的に選択して、各種ソフトウェアおよびバイナリを取得できるようになり、セットアップがさらに高速化しました。
実運用での効果
これまでのセルフビルドでは、ソースビルドからキャッチアップ完了までに物理的に 20〜30分を要するケースが一般的でした。この時間は、手順を完全に理解し最速で作業した場合でも、ビルド処理とデータ同期に必要な純粋な待機時間として発生するもので、実際の手動操作や確認作業を含めればさらに長くなります。
SLV v0.9.700 では、この「物理的に必要だった時間」そのものを短縮しています。バイナリを自動でビルド・キャッシュ化し、グローバル配信ネットワーク上から即座に取得できるため、ビルド工程を完全に省略し、キャッチアップの 10〜15 分だけでメンテナンスを完了できます。
さらに、これらの手順はすべて自動化されており、運用者が手動で行うよりも圧倒的に短時間で安全に更新を完了できます。
SLV は、Validators DAO の管理下にある Cloudflare R2 ネットワークを通じて配信しており、グローバルな高速ストレージから常に最新のビルドを安全に取得できる設計となっています。
分散化とネットワーク効率への貢献
SLV のリージョン最適化配信は、単に高速化を目的とした仕組みではありません。距離のあるリージョン間で発生する長距離転送を減らすことで、Solana 全体のネットワーク効率を高め、通信経路の輻輳を抑制します。
現在多くの Solana メインネットバリデータが採用している Jito クライアントでは、ブロックエンジンとの物理的距離がパフォーマンスに直接影響します。距離が遠い場合、トランザクション伝播やバンドル送信の遅延が発生し、ブロック構築効率に差が生じます。
SLV では、セットアップ時に ping 計測に基づいて最寄りのブロックエンジンや配信ノードを自動的に選択するため、こうした遅延を最小化し、安定した性能を維持できます。

様々なリージョン最適化により、各バリデータが地理的制約を受けずに均一な環境で稼働でき、Solana の分散化・健全性の維持にもつながります。
今後の展望
SLV は引き続き、Solana v3.x 系列や Firedancer / Jito クライアントの新バージョンに即応する形でアップデートを継続していきます。
今後は、GUI 版 SLV(ローカルで動作するセキュアな UI 管理ツール)の提供を予定しており、複数ノードの監視・再起動・アップデート・ステーク手数料設定などの便利な管理機能をクリック操作で行える環境を実現します。
また、Discord を活用してのアラート通知機能や自動ログ収集機能の強化も進め、バリデータがより直感的に運用状態を把握できる仕組みを導入していきます。
関連リンク
- SLV リリースノート v0.9.700: https://github.com/ValidatorsDAO/slv/releases/tag/v0.9.700
- SLV 公式サイト: https://slv.dev/ja
- Validators DAO 公式Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR

