ELSOUL LABO、WBSO 2026 に採択。5年連続でオランダ政府より承認、Solanaを含む分散システム研究開発組織として評価
ELSOUL LABO、WBSO 2026 に採択。5年連続でオランダ政府より承認、Solanaを含む分散システム研究開発組織として評価

ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役 CEO:川崎 文武)は、オランダ政府機関 Rijksdienst voor Ondernemend Nederland(RVO)が所管する研究開発支援制度「WBSO(Wet Bevordering Speur- en Ontwikkelingswerk)」において、2026年分の研究開発プロジェクトについて正式な承認を受けました。ELSOUL LABO は 2022 年以降、5 年連続で年度単位の審査を通過しています。
今回の承認は、分散システムという前提条件が変わりやすい領域を研究対象とし、2026年分として申請された研究開発プロジェクトが年度審査を経て承認されたものです。
WBSOとは何か
WBSO は、オランダ政府が研究開発活動を対象として設けている制度です。審査の中心は、研究内容そのものに置かれます。解くべき課題に技術的不確実性が存在し、その不確実性に対して試行錯誤を伴う研究開発が行われているかが確認されます。
また、WBSO は自動更新の制度ではありません。年度ごとに申請が行われ、研究テーマ、研究内容、実施体制が対象期間に対して評価されます。分散システムのように前提条件が継続的に変わる領域では、研究対象を固定したまま継続することは困難です。そのため、研究対象を更新し続け、実運用の制約を取り込みながら成立させているかが、制度上の重要な判断材料となります。
WBSOで評価される研究開発の条件
WBSO が前提とする研究開発は、一般的な実装作業や手順が確立された開発作業とは区別されます。評価の対象となるのは、課題そのものに技術的不確実性が含まれ、既存の手法だけでは到達点が定まらない状態に対して、検証と反復を通じて解へ近づく取り組みです。
さらに、その取り組みが事業と切り離された活動ではなく、実運用や実装と接続されていることが求められます。分散システム領域では、低遅延、安定性、観測可能性、障害時の再現性、構成変更への追従といった条件が同時に要求されます。どの条件が支配的になるかは状況によって変わり、単一の性能指標に還元することはできません。この複合条件を前提として課題を定義し、構造として扱い続けること自体が、研究開発としての成立条件になります。
2026年に承認された ELSOUL LABO の研究開発プロジェクト

2026 年分として承認された ELSOUL LABO の研究開発プロジェクトは、以下の 3 件です。
- MCP制御によるAIレイヤーを用いたマルチチェーンRPCの研究開発
- 超低遅延を前提とした Solana v3 / PoS RPCインフラの研究開発
- バリデータ配置および運用オーケストレーションの自動化に関する研究開発
いずれのプロジェクトも、分散システムの設計・運用・観測・継続性に関わる課題を研究対象としている点が共通しています。
各プロジェクトが扱っている研究対象の本質
マルチチェーンRPCに関する研究開発では、MCP を制御層として設計し、AI を組み合わせて扱う構成を研究対象としています。ここでの AI は、作業の補助や効率化を目的とした付加要素についてのみではなく、分散システムにおける判断と制御を、再現可能な手続きとして扱うための構成要素であり、結果として開発者サポート・利用者サポート・開発体験・利用者体験の向上が期待されています。
Web3 開発では、アプリケーション開発とインフラ設計が分断されやすく、サーバー調達、ネットワーク条件、観測設計、障害時の切り分けが、一部の専門家の暗黙知として閉じる構造が続いてきました。本研究では、こうした判断領域を対話・検証可能な対象として扱い、複雑性を個人依存から集合知へ移すことを研究の中心に据えています。開発者体験の改善は、プロジェクト存続性の向上、開発速度の向上、プロダクト品質の向上に繋がります。環境設計と運用判断が再現可能であること、継続的に更新できることを成立させる目的として位置付けられます。
Solana v3 / PoS RPCインフラに関する研究開発では、再現性と継続性を伴う低遅延の達成をテーマとして扱います。Solana の実運用では、RPC 単体の処理速度だけでなく、データ取得、配信、観測、実行の経路全体の整合が性能に影響します。負荷やネットワーク条件が変動する中で、どこがボトルネックになるかは状況ごとに変わります。v3 における Alpenglow の導入によるコンセンサスアルゴリズムの変更により、Solana v3 / PoS を前提とした構成変更を含め、実運用条件下での構成と運用を研究対象としています。理論上の最適解のみならず、実運用の制約下で成立する設計と検証を反復することが研究対象となります。
バリデータ配置および運用オーケストレーションの自動化に関する研究開発では、分散ネットワーク運用に内在する属人性を課題として扱います。バリデータ運用は、地理条件、ネットワーク経路、ハードウェア特性、運用手順、障害対応が複合する領域です。属人性が高いままでは、品質が特定の経験者に依存し、参入の難易度が上がります。本研究では、配置判断や運用判断を再現可能な手続きとして設計し、オーケストレーションとして実装し、広く利用可能とすることを研究対象としています。これは作業削減のみを目的としたものではなく、多くの利用者を支える分散システムとしての品質を継続的に維持するための構造を整える取り組みです。
ELSOUL LABO がこの領域で研究を継続する理由
ELSOUL LABO が分散システム領域で研究開発を継続できる背景には、研究が実装や運用から切り離されていないという構造があります。オープンソースソフトウェアの開発、DAO の運営、分散型インフラの実運用、高品質なグローバル Solana ネットワーク(ERPC)の構築を、同一組織内で同時に行っています。
研究の仮説は実装として形になり、運用の制約下で検証されます。そこで得られた限界や失敗は、そのまま次の研究課題として取り込まれます。この循環が成立していると、研究は理論の提示に留まらず、現実の制約下で成立する設計へと収束していきます。分散システム領域では、前提条件が固定されないため、研究成果が運用で検証され続ける構造がなければ、研究は現実に追い越されます。研究と実装、運用が分断されていない体制が、研究開発の継続性を担保します。
グローバル前提の研究開発
ELSOUL LABO は、グローバル前提の Solana インフラ運用環境を前提として、分散システムの研究開発を行っています。研究開発は、現在稼働している運用環境を前提に進められています。
研究開発の前提となっている ERPC の運用リージョンは以下のとおりです。
- Amsterdam
- Frankfurt
- London
- Dublin
- New York
- Chicago
- Salt Lake City
- Tokyo
- Singapore
結び
ELSOUL LABO は、オープンソース、DAO、グローバル分散型インフラの実運用を通じて得られる知見を研究開発に反映し、Web3 開発に取り組む多くの開発チームが、現実的な条件の下で継続的に開発と運用を行える環境づくりを進めていきます。
最新情報につきましては、ぜひ Validators DAO の公式 Discord チャンネルにご参加ください。


