Solana で ゼロブロックトレードを達成するために
Solana で ゼロブロックトレードを達成するために

Solanaの高頻度トレーダーから頻繁に寄せられる質問の一つに「どうすればゼロブロック(ゼロスロット)トレードを実現できるのか?」というものがあります。この記事では、ERPCが蓄積した知見をもとに、レイテンシを削減してゼロブロックトレードを達成するためのポイントを詳細に解説します。
レイテンシに関する誤解を正しく理解する
Ping値はあくまでも理想値
Ping値は理想的なネットワーク環境における最小遅延を示す数値であり、実際のトレーディング環境で使用されるgRPCやShredStreamなどのストリーム通信のレイテンシを正確に表すものではありません。しかし、一般的な目安としては有用です。
具体的には以下のような遅延が目安となります。
- 同一ネットワーク内:約0.1ms
- プライベート接続(PNI):約0.2ms
- 同一データセンター:約0.3ms
- 同一都市:約1ms
- 隣国:約5〜10ms
- 大陸間:約100〜300ms
実際のストリーム通信ではTCPプロトコルのオーバーヘッドが発生するため、実際のレイテンシはPing値の約5倍程度になることがままあります。例えば、大陸間のPing値が理想的に100msであっても、実際のストリーム通信では約500msの遅延が現実的です。
平均レイテンシ200~300msという誤解
Solanaのブロックタイムは約400msであることから、多くのトレーダーが「200~300msの平均レイテンシを目指せば勝てる」と考えがちです。しかし、Solanaはグローバルに分散されており、リーダーバリデータも大陸間で分散しているため、平均で200~300msという数値を達成するのは現実的ではありません。
そのため、平均レイテンシでトレードの成否を判断するのは誤りです。実際には、常に同一リージョンにリーダーバリデータが存在しているスロットで勝負する必要があります。同一都市や隣国であれば、数十msのネットワークレイテンシで情報取得が可能であり、ゼロブロックトレードが現実的となります。
Solanaのブロック生成とリーダーの仕組み

Solanaは「エポック」と呼ばれる単位で運用されており、エポックは人間にとっての1日のような周期です。その中で特定のバリデータが順番に「リーダー」となり、ブロック生成を担当します。このブロック生成はリーダーのみが行い、ブロック生成時にリーダーの物理的な位置に近いほどデータ取得や送信のレイテンシが低減します(実際にはSolanaのデータ伝播アルゴリズムなど様々な要因が関係します)。
つまり、ゼロブロックトレードを成功させるためには、リーダーがいる地理的な場所に戦略的にインフラを配置することが非常に重要になります。特にフランクフルトが人気なのは、世界で最も多くのバリデータが集まる地理的メリットがあるからです。
フランクフルト以外にも、アムステルダム、ニューヨーク、ロンドン、ソルトレイクシティ、LA、東京、シンガポールなどもそれぞれリージョンにバリデータが存在し、地理的メリットを活用できます。
Solana Beach APIとSolana純正RPC APIを利用したバリデータ地理情報取得
リーダースケジュールやバリデータの位置情報の取得は、Solana BeachのAPIまたはSolana純正のRPC API(getSlotLeadersやgetClusterNodes)とIP情報を組み合わせて実現できます。
専有エンドポイントの重要性と同一ネットワークのメリット
専有エンドポイントを利用することで、他のユーザーからの影響や攻撃による遅延がなく、常に安定して高速な環境を維持できます。一方、共有エンドポイントは他のユーザーのリクエスト処理も行うため、必然的にレイテンシが増加します。
また、専有エンドポイントと同じネットワーク内にアプリケーションを設置することで、外部ネットワークを利用せず、レイテンシを最小限に抑えることが可能です。
ハードウェア最適化とハイクロックCPUの重要性
ゼロブロックトレードを目指す環境では、CPU性能が極めて重要です。特にハイクロックの最新CPUを採用することで処理速度が高まり、レイテンシがさらに低減できます。
ERPCでは最新世代のAMD EPYCを搭載した高速VPSを提供し、Solanaのリアルタイム処理に特化した環境を整えています。
Stake-weighted QoS(SWQoS)の活用
Solanaではノードへのステーク量が多いほどデータ伝播速度が速くなり、トランザクションの成功率が向上します。専有ノードにSWQoSを適用することで、トランザクションの速度と成功率を大幅に向上できます。
ERPCでは現在トランザクション送信サービスを開発中ですが、現時点ではJito Bundleや0slotなどのサービスの活用も推奨しています。
ERPCによる最適なサポート
ERPCでは共有エンドポイントの無料トライアルやSolana向け高速VPSのテスト環境を提供しています。また、グローバルインフラ構築にも対応しています。
インフラのスケールや改善については、ぜひValidators DAO公式Discordからご相談ください。
ERPCは皆様のプロジェクトの成功を技術面からサポートします。今後ともよろしくお願いいたします。